何首烏(ツルドクダミ)
photo by 石川 Shihchuan

何首烏(かしゅう)といわれてもたいていの人はピンとこないでしょう。

これは生薬名でもとになる植物はツルドクダミといいます。

どくだみ茶としてよく飲まれているドクダミとはまったく違う種類の植物なので間違えないでください。

漢方でもメジャーな生薬ではなく、あまり使われることはありませんが、髪を黒くすることや不老長寿の薬として知られています。

では、日本人には馴染みのない、この何首烏についてみていきましょう。

何首烏とは?

タデ科のツル性多年草であるツルドクダミ(学名:Polygonum multiflorum Thunb.)の塊根を乾燥させたものです。

塊根とは、根の一部が養分をため込んでサツマイモのように肥大したものを言います。

中国の本草学において登場したのは割りと新しく、宋の時代に編纂された『開宝本草』に初めて収載されています。

もともと、何首烏には赤と白のものがあったとされ、のちにそのことが混乱をまねき、「赤何首烏」をツルドクダミ、「白何首烏」を別種のカガイモ科の大根牛皮消の根とされています。

でも実際のところ、『開宝本草』にある白の何首烏が本当に大根牛皮消の根のことを指しているのかははっきり分かっていません。

日本ではツルドクダミの何首烏のみが第二類医薬品として認められています。
なので、日本で何首烏と言えばツルドクダミの根のことです。

外用薬としても第三類医薬品に指定されていて、育毛剤に配合されていたりします。

日本へは、徳川吉宗が取り寄せて栽培させたのが始まりとされていて、今では帰化植物として全国に自生しています。

何首烏という名の由来は、昔、何首烏という人がいてこの生薬を服用することで130歳まで生きたという伝説や、”何”という偉い人が服用して白髪だった頭が”烏(カラス)”のように黒々とした髪に変わったという言い伝えから来ています。

何首烏の効能・効果は?

漢方薬

何首烏の効能としては宋の時代の『開宝本草』には

心痛を止め,血気を益し,髭髪を黒くし,顔色を悦ばせる

とあり、強壮薬や伝説通りに髪を黒くする目的で用いられていたようです。

今でも医薬品の養毛・育毛剤に使われているので、案外、言い伝えは正しいのかもしれませんね。

近年になって科学的に分析された結果、何首烏の有効成分としては

  • クリソファノール(アントラキノン誘導体)
  • エモジン(アントラキノン誘導体)
  • レイン(アントラキノン誘導体)
  • フィスシオン(アントラキノン誘導体)
  • タンニン(ポリフェノール)
  • カテキン(フラボノイド)
  • スチルベン配糖体

などが分離されています。

 

生薬としての何首烏の薬能には次のようなものがあります。

  • 潤腸・・・腸の中の水分不足を改善して便秘を治す
  • 解毒
  • 瀉下・・・瀉下剤といえば下剤のことを意味しますが、瀉下(しゃか)とは便を排出させて病邪を取り除くことを指します

 

漢方処方の適応としては

  • 滋陰・・・陰(潤いや冷やす力)を補充して陰虚(顔や手足の裏のほてり、のぼせ、いらいら、不眠、口や喉の渇き、空咳、腰痛、耳鳴り、寝汗など)を改善する
  • 強壮・・・体を元気に丈夫にする
  • 補血・・・血を補う(増やす)

などがあります。

何首烏は直接的に性機能に働いて性欲を回復させたり、精力アップするというわけではなくて、体を健やかにすることで下半身が元気になり強壮・強精作用が望めるというタイプの生薬のようです。

何首烏には肝障害のリスクがあるので信頼できる製品を使用しよう

肝障害

これまでにツルドクダミを服用して肝障害が起こったという報告がいくつかあります。

お茶にしたり、お酒にして長期に飲用していた人に、黄疸や腹痛を伴う肝障害が起こったといういことです。

外用なら問題ないでしょうが、内服する時は注意が必要でしょう。

サプリメントや健康食品ではツルドクダミの根は使えない(医薬品のため)ので、もし、原料としてツルドクダミの記載があるのなら、それは葉や茎の部分を用いているということです。

それらの部分に関しては、成分の濃度や体に対する効果や影響についてほとんど研究されていません。

なので、ツルドクダミ入りのサプリメントや健康食品は避けたほうがいいでしょう。

また、生薬としての処方であっても、何首烏を単独で服用したりするのはやめておいた方が無難です。

生薬を組み合わせた漢方薬のように確立している処方や、製薬会社が製造している何首烏配合の製品は安全性が担保されているので、安心して服用することができます

何首烏が配合された当帰飲子という皮膚疾患に用いる漢方薬は、ツムラによって医療用漢方薬として製造されています。
このような製品は安心して使用することができます。

まとめ

何首烏は、効きそうだからといって手軽に服用できるタイプの精力剤ではありません。

いくらムスコに効いても肝臓を壊してしまっては本末転倒です。

何首烏を試したいのなら、必ず専門家が監修した製薬会社製造の製品を服用するようにしましょう。