人参(オタネニンジン)
photo by 素珍 徐

人参というと野菜のニンジンを思い浮かべてしまいますが、精力剤の話で人参と言えばまったく別の生薬の人参のことを指します。

管理人の世代では朝鮮人参と言ったほうが馴染みがありますね。

時代劇で、労咳(ろうがい:主に肺結核のこと)のおとっつあんのために、娘が危ない橋を渡って手に入れる万能薬といえば、たいていは朝鮮人参でしたね。

この朝鮮人参こと人参は精力剤の成分としてももっともポピュラーなもので、滋養強壮の栄養ドリンク(上等なやつ)には必ずと言っていいほど配合されています。

今回は、この人参についてその男性機能に対する効果について調べてみました。

人参(高麗人参)とは?

古代中国

原産地は中国吉林省、遼寧省、朝鮮半島、シベリアで、もっとも古くから利用されている生薬の1つででしょう。

漢方の源流である本草学のもっとも古い本『神農本草経』にも上品(じょうほん)として掲載されている歴史の長い生薬です。

人参、一名人銜、一名鬼蓋、味は甘、微寒。山谷に生ず。五臓を補い、精神を安んじ、魂魄を定め、驚悸を止め、邪気を除き、目を明らかにす。心を開き智を益し、久しく服せば、身を軽くし、年を延ぶ。

当時は各疾患に対して使うというよりも、日頃の健康、長命のために用いられていたようですね。

日本では古くは、奈良時代に聖武天皇に渤海から高麗人参が送られたことが記録されています。

江戸時代に入り、八代将軍吉宗が対馬藩に命じて人参の種を取り寄せ日本での栽培を始めたことから「御種人参(オタネニンジン)」と呼ばれるようになったそうです。

人参の定義や成分など

人参は、朝鮮人参の他、高麗人参や薬用人参などとも言われ、正式にはウコギ科(Araliaceae)のオタネニンジン(Panax ginseng C.A. Meyer)の根のことで、英語ではPanax ginsengやGinseng、True Ginseng、Mountain Ginseng、Wild Ginsengなどと呼ばれます。

人の形に似ているから”人参”という名が付いたといわれています。

単に乾燥させたものを”白参”、湯通しして乾燥させたものを”紅参”といいます。
※熱処理すると紅くなるようです。

また、正式名のPanaxはギリシャ語で”all healing(すべてを癒す)”の意味から、Ginsengは”男根”の意味に由来しているとされています。

アメリカ人参(広東人参)や田七人参は近縁ですが別の種類です。

人参は世界的にももっとも有名な生薬で、薬理作用や臨床応用とその効果についてももっとも研究されているものでしょう。

その有効成分はステロイド様のサポニンであるジンセノサイドという物質で、現在、100種以上のジンセノサイドが分離されています。[1]

その他、精油のパナキシノールやパナキシドール、糖類、アミノ酸、ビタミンB群を含んでいます。

人参の効能は?

漢方薬

人参は第3類医薬品でれっきとした医薬品です。
日本薬局方にも掲載されています。

人参はさまざまな製品(あの「救心」にも入っている)に使われていますが、もっともよく使われるのは人参湯でしょう。

これには人参以外に蒼朮(ソウジュツ)、乾姜(カンキョウ)、甘草(カンゾウ)などが入っています。

ツムラの「ツムラ漢方 人参湯」(第2類医薬品)の効能は次のようになっています。

効能・効果

手足などが冷えやすく、尿量が多いものの次の諸症:胃腸虚弱、胃アトニー、下痢、嘔吐、胃痛

人参湯は胃腸疾患のための漢方薬として売られているようですね。

1つだけ、人参のみから作られたマツウラの漢方薬の「人参エキス」(第3類医薬品)を見つけたので、その効能を見てみましょう。

効能・効果

次の場合の滋養強壮:虚弱体質、肉体疲労、病中病後、胃腸虚弱、食欲不振、血色不良、冷え症

肉体疲労時や病中病後の滋養強壮に用いられるようです。

強壮剤ととらえることはできますが、神農本草経の頃とあまり変わっていない感じですね。

製品では、男性機能に関する効能は挙げられていませんが、人参単独の漢方での臨床応用としてはどうなのか見てみると

臨床応用

人参は強壮、強心、強精、健胃、補精、抗疲労薬として広く賞用され、胃の衰弱による新陳代謝機能の低下に振興薬として用い、衰弱者の胃部停滞感、消化不良、嘔吐、胸痛、弛緩性下痢、食欲不振などに応用する。

ちゃんと強壮剤、精力剤としての効果はあるようですね。

 

管理人管理人

Ginseng(男根)という名が付いているくらいなので、そうでなくちゃ困ります。
人参はさまざまな効果があって体を健康にすることから、その結果として男性機能も改善されてくるということなのかもしれません。

管理人の愚息管理人の愚息

土台がしっかりしていてこそ、ボクが活躍できるっていうことだね!

服用量

生薬のままの人参だと1日に1~10gとさまざまで、煎じたり、散剤にして服用します。

標準的な人参エキスの場合は200mg~400mgとされていますが、いくつかの研究では40mgという低用量でも効果がある可能性が指摘されています。

ちなみに、前述のマツウラの漢方薬の「人参エキス」では0.3gを1日3回服用するよう指示されています。

人参の効能は科学的な裏付けがあるのか?

鹿茸の薬理作用

人参の薬理作用や効能に関する研究は、その作用が多岐にわたるために、これでもかというほど多くの報告があります。

人参の効能・効果についてはポジティブな報告がほとんどで、「人参は効かない」と否定するのが困難なほどに検証されています。

効能をすべて拾っていくのはあまりに膨大なので、このサイト本来の目的である男性機能向上に関する作用について調べてみました。

まず、男性ホルモン(テストステロン)への効果として、勃起不全を伴うテストステロン値の低い男性のテストステロンのレベルを上昇させ、正常化させる作用がある可能性が指摘されています。[2]

テストステロンが低下すると男性更年期障害からEDへと結びつきますから、これはうれしい効果ですね。

また、人参を継続的に摂取させることで、精巣のタンパク質合成が増加し、[3]精子形成も増加することが報告されています。[4]

精巣に対しては保護的に働くことも報告されていて、糖尿病[5]やアルコール[6]や物理的な外傷[7]に対する精巣の傷害を軽減する効果があるとされています。

不妊症の男性の研究では、人参が精子形成や精子運動を増加することも報告されています。[8]

ED男性に対して人参が効果を発揮するのかどうかを調べた研究もあります。

軽度から中程度のED患者に対して、人参を1日3回、1回1gを12週間に渡って服用してもらったところ、66.6%の人に勃起機能の改善が認められたという報告があります。[9]

別の研究でも、ED患者に人参を1日2回、1回1gを8週間服用してもらったところ、勃起機能の改善効果は有意な結果が出ました。[10]

600mgを1日3回でも効果があるという報告もされています。[11]

 

管理人管理人

体にいいのはもはや疑いのない人参ですが、2次的に男性機能が回復するだけでなく、直接的に男性機能を改善する効果もありそうですね。
精力剤に必須な生薬であることも納得です。

参照

1. Nag SA, et al Ginsenosides as Anticancer Agents: In vitro and in vivo Activities, Structure-Activity Relationships, and Molecular Mechanisms of Action . Front Pharmacol. (2012)

2. Hong B, et al A double-blind crossover study evaluating the efficacy of korean red ginseng in patients with erectile dysfunction: a preliminary report . J Urol. (2002)

3. Yamamoto M, Kumagai A, Yamamura Y Stimulatory effect of Panax ginseng principles on DNA and protein synthesis in rat testes . Arzneimittelforschung. (1977)

4. Yang WM, et al Effects of Panax ginseng on glial cell-derived neurotrophic factor (GDNF) expression and spermatogenesis in rats . Phytother Res. (2011)

5. Sawiress FA, et al Effect of ginseng extract supplementation on testicular functions in diabetic rats . Endocr Regul. (2011)

6. Jang M, et al Effects of red ginseng extract on the epididymal sperm motility of mice exposed to ethanol . Int J Toxicol. (2011)

7. Kim YH, et al Effect of korean red ginseng on testicular tissue injury after torsion and detorsion . Korean J Urol. (2010)

8. Salvati G, et al Effects of Panax Ginseng C.A. Meyer saponins on male fertility . Panminerva Med. (1996)

9. de Andrade E, et al Study of the efficacy of Korean Red Ginseng in the treatment of erectile dysfunction . Asian J Androl. (2007)

10. Kim TH, et al Effects of tissue-cultured mountain ginseng (Panax ginseng CA Meyer) extract on male patients with erectile dysfunction . Asian J Androl. (2009)

11. Choi HK, Seong DH, Rha KH Clinical efficacy of Korean red ginseng for erectile dysfunction . Int J Impot Res. (1995)