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蛇床子と書いて”じゃしょうし”と読みます。

これも日本人には馴染みのない生薬ですね。知っている人はほとんどいないでしょう。

日本でも昔から使われてはいたのですが、ちょっと種類の違うヤブジラミという植物を使っていて和蛇床子と呼んで区別します。

このヤブジラミなら聞いたことはある気がします。

日本では知名度のない蛇床子ですが、中医学の世界では、あの強精生薬として有名な淫羊霍(インヨウカク、別名イカリソウ)と並んでインポテンツ、EDによく処方される生薬だそうです。

今回はこの知られざる天然バイアグラ、蛇床子についてまとめてみました。

蛇床子とは?

蛇床子

蛇床子は中国原産のセリ科(Umbelliferae)のオカゼリ(Cnidium monnieri )の成熟果実を乾燥させたものです。

その歴史は古く、中医学最古の書「神農本草経」にも上品として記載されています。

日本でも江戸の頃から薬草として用いられていましたが、こちらはオカゼリとは全く別のヒルムシロという植物が蛇床子として売られていたようです。

その後、上で書いたヤブジラミが和蛇床子として売られるようになりました。

日本では勃起不全に対する処方ではなく、もっぱら駆虫、解熱、解毒などの目的で用いられていたようです。

今でも、漢方専門店にでも行かないとお目にかかることはありませんが、われわれが飲む精力剤に使われている場合があり、知らない間に口にしているかもしれません。

有名どころでは、ローヤルマムシゲン内服液、ニューゼナ FIII、NEWマムシホルモ、ユンケルファンティなどに入っています。

蛇床子の効能・効果は?

まずは、昔の中国の人たちはどのような効果を期待して蛇床子を使っていたのでしょう?

歴史上、最初に記載された神農本草経の記述を見てみましょう。

 蛇床子、一名蛇粟、一名蛇米、味は苦、平。川谷に生ず。婦人陰中腫痛、男子陰萎湿痒を治す。痺気を除き、関節を利し、癲癇、悪瘡。久しく服せば、身を軽くす。

陰中腫痛とは性器が腫れたり痛んだりすることと考えられています。

陰萎は何度も出てきましたが、ED、インポテンツのことを指します。

湿痒とは性器の痒みのことを言います。湿痒に対しては蛇床子を飲んで治すわけではなく、煎じたものを塗り薬として使ったようです。

まあ、何にせよ中国では古代から勃起改善のために使われていたということです。

近年でも、中医学での利用目的はほぼ同じで、他に強壮のための精力剤として使ったりもします。

蛇床子の成分や薬理作用はわかっている?

マカの効能の研究報告

蛇床子にはクマリン誘導体や精油などが分離されて、それらが生理的活性を持つことがわかっています。

特に、勃起改善作用はクマリン誘導体(インペラトリン)がPDE(ホスホジエステラーゼ)の働きを抑制することで発現するとされています。

PDEとは、勃起を起こすための最終物質であるcGMPを分解してしまう酵素で、PDEを働かなくすることでcGMPが蓄積されるとたやすく勃起が維持できるようになります。

バイアグラやシアリスは別名PDE5阻害薬と呼ばれるのを知っていますか?

つまり、蛇床子はバイアグラと同じような仕組みで勃起を改善させるのです。

あの淫羊霍もよく似た作用を持つ生薬の一つです。

蛇床子の服用量は?

カプセル

蛇床子を単独で服用する場合の適正な用量というのは、ハッキリと分かっていません。

漢方での伝統的な使用方法では、6~15gとされています。

蛇床子の副作用は?

活性酸素を取り除くイメージ

神農本草経で上品に指定されている生薬なので、基本的に副作用の心配はありません。

上品というのは、日常的に服用して体を健康に保つ目的の生薬ですから、穏やかな効きめで副作用のないものが選ばれます。

中国で昔から現代まで、ずっとそうして使われてきたものなので、安心して服用できるでしょう。

ただし、科学的にみるとクマリン誘導体は過量に摂取すると腎毒性や肝毒性があります。また、血が止まりにくくなります。(殺鼠剤に使われたりする)

なので、極端に大量に服用するのは避けたほうがいいでしょう。

まとめ

蛇床子は、淫羊霍の影に隠れて目立たない精力剤生薬ですが、そのポテンシャルはかなり高そうです。

もっと精力剤の原料として活用してもいいと思うんですけどね。

例えば精力剤のメイン成分として淫羊霍と蛇床子のコンビで使えば、かなり効きそうな商品ができそうです。

知名度がないので、使ってもセールスポイントにならないという面もあるのかもしれませんが、バイアグラなどの薬にまだ頼りたくない人のニーズは結構あると思うんですがどうでしょう。