インヨウカク イカリソウ
photo by James Gaither

淫羊霍(インヨウカク、イカリソウ、英語でHorny Goat Weed )は古来より股間を元気にすることで有名な生薬で、薬局で売られているドリンク剤にはたいてい入っています。

中国では冬虫夏草や田七人参とともに3大強壮強精剤に挙げられています。

日本の滋養強壮薬として有名なあの”養命酒”にも原料として含まれています。

タイトルの話は昔、中国で淫羊藿を食べた羊が1日に100回交尾をするという言い伝えからくるものですが、実際は羊に似た鹿であったとも言われます。

鹿はもともと精力絶倫の動物と知られているので、羊のほうが淫羊霍の強精作用を伝えるのにインパクトが強いかもしれませんね。

鹿、羊どちらにせよ、その逸話から淫羊霍が精力剤として活用されるようになったといわれています。

淫羊霍とは?

インヨウカクのニオイを嗅いでいるだけでムラムラしてきた

淫羊霍を生薬として用いた歴史は古く、三国時代に完成されたと言われる最古の本草学(中国の医薬の学問)の本、『神農本草経』にもすでに掲載されています。

淫羊霍、一名剛前、、味は辛、寒。山谷に生ず。陰萎、絶傷、莖中痛を治す。小便を利し、気力を益し、志を強くす。

「陰萎」はインポテンツのこと、「絶傷」は筋肉が傷害される病気のこと、莖中痛はペニスの痛みを示します。

勃起力を改善し、強精・強壮作用をあわせ持つ、まさに古代の精力剤ですね。

現在、生薬として用いられている淫羊霍は1種類の植物ではありません。

メギ科(Berberidaceae)のイカリソウ(Epimedium grandiflorum Morren)、キバナイカリソウ(Epimedium koreanum)、ホザキイカリソウ(Epimedium sagittatum Maxim)、心葉淫羊霍(Epimedium brevicornum Maxim)などの全草を乾燥させた生薬です。

現在、日本の市場に出回っているのはほとんどがキバナイカリソウです。

淫羊霍の有効成分は独特のフラボノイドによるものですが、本来の淫羊霍とされるホザキイカリソウは主成分が他のものと異なることが報告されています[1]

局方にはトキワイカリソウという種類も指定されているのですが、この種類はフラボノイドが微量であるとされています[1]

どの種類の淫羊霍を使っているかで効能に差がでるかもしれませんね。

淫羊霍の効能・効果

漢方薬

淫羊霍の主となる薬効成分はフラボノイドの一種、イカリイン(icariin)です。

ホザキイカリソウではイカリインではなくepimedoside Aを主成分とします[1]

淫羊霍は効能が認められ、第3類医薬品に指定されています。

淫羊霍は通常、養命酒やドリンク剤のように他の成分とともに用いられるのですが、うすき製薬の「いんようはーぶドリンク(第2類医薬品)」は淫羊霍のみを主成分とした製品です。

その効能を見てみましょう。

効能・効果
滋養強壮。虚弱体質。肉体疲労・病中病後・食欲不振・栄養障害・発熱性消耗性疾患・妊娠授乳期などの場合の栄養補給

疲労回復、滋養強壮としての効能しか書いていません。

強精作用や勃起機能改善など、もっと直接的な表現の効能を取得してほしいところですね。

一方、漢方薬としての淫羊霍は利尿、補精、強壮を目的に使われます。

応用として、陰萎に用いられたり、女性の不妊症治療に使われたりもするようです。

他に、神経衰弱や高血圧の治療にも用いられるようです。

淫羊霍の強精作用に科学的な裏付けはあるのか?

鹿茸の薬理作用

第2類医薬品、漢方薬としておおいに利用されている淫羊霍ですから、わざわざ文献を引っ張り出す必要はないのかもしれません。

でも、実際に自分が飲んでいくとしたら権威ある裏付けを知りたいですよね。
それに、研究結果があることで、プラセボ効果もグンとアップするかもしれませんから。

まず、淫羊霍にはテストステロンを上昇させる作用があることが報告されています。[2]

そのメカニズムについてははっきり分かっていませんが、睾丸へのなんらかの働きでテストステロンを高めるのではないかとされています。[2]

勃起機能改善の直接的な証拠として、淫羊霍の有効成分であるイカリインはPDE5(勃起を起こすcGMPを分解してしまう酵素)に対し、非常に親和性が高く、[3]PDE5の働きを抑制する作用があることがわかっています。[4]
※まさにバイアグラと同じような働きをする。

勃起機能を改善する機能はイカリインを反復して摂取することでより有効になり、効果はしばらく持続することが報告されています。[2]

さらに、イカリインには血管を拡張させて勃起に導くNO(神経から放出される一酸化窒素)の合成酵素の発現を高めて、PDE5の抑制と相乗的に働いて勃起機能を改善します。[2]

 

管理人管理人

科学的な作用から見ても、淫羊霍の勃起機能改善の効果は間違いないようですね。
精力剤というよりはバイアグラ的な効き方なのかな。
それでもバイアグラの効力の半分くらいとされています。

淫羊霍の副作用はあるの?

漢方では淫羊霍は燥性(体の水分を排出する作用)があるとして、頭がフラフラしたり、口がカラカラに乾いたり、嘔吐や鼻血が出ることがあるとされています。

しかし、淫羊霍に副作用情報は出ていないようですし、医薬品の「いんようはーぶドリンク」にも、特に副作用の注意は記載されていません。

研究レベルでは2例の報告があって、1つは軽躁状態と頻脈性不整脈が発生したというものです。[5]
(しかし、この症例は他にアスピリンやバイアグラ、β-ブロッカーを服用していたそうです。)

もう1例は発疹が出たと報告されています。[6]
(この症例も同時にイチョウの葉を摂取しているので発疹が淫羊霍のせいなのかイチョウのせいなのかはわかりません。さらに他の化合物も服用していたそうです。)

これらのことから考えて、淫羊霍を用量を守って服用する分には副作用の心配はないと思われます。

 

管理人管理人

歴史のある精力剤ですから、効果がないという方が考えにくいでしょう。
長年に渡り、男たちを満足させてきたからこそ、今なお活用されていると考えるのが自然じゃないでしょうか。

参照

1. 守安正恭, 小山倫奈, 川西和子, 奥川斉 : 各種イカリソウのフラボノイドの比較について. 生薬学雑誌 64 ( 1 ) , 1 − 6, 2010

2. Shindel AW, et al Erectogenic and neurotrophic effects of icariin, a purified extract of horny goat weed (Epimedium spp.) in vitro and in vivo . J Sex Med. (2010)

3. Xin ZC, et al Effects of icariin on cGMP-specific PDE5 and cAMP-specific PDE4 activities . Asian J Androl. (2003)

4. Ning H, et al Effects of icariin on phosphodiesterase-5 activity in vitro and cyclic guanosine monophosphate level in cavernous smooth muscle cells . Urology. (2006)

5. Partin JF, Pushkin YR Tachyarrhythmia and hypomania with horny goat weed . Psychosomatics. (2004)

6. Metz D, Weston P, Barker D Case report of vasculitic rash induced by Ginkgo biloba and/or Horny Goat Weed . BMJ Case Rep. (2009)